町立図書館で借りて来た『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
(新井紀子著:東洋経済新報社)を読了しました。本書は、2019年ビジネス書大賞の受賞作です。
本書のカバーには、次のように書かれていました。
『大規模な調査の結果わかった驚愕の実態
ーー日本の中高校生の多くは、中学校の教科書の文章を正確に理解できない。
多くの仕事がAIに代替される将来、読解力のない人間は失業するしかない‥‥。
気鋭の数学者が導き出した最悪のシナリオと教育への提言。』
この言葉のとおり、「第3章 教科書が読めない――全国読解力調査」を読んで、愕然としました。
ちなみに、全国2万5000人を対象に実施した読解力調査でわかったことは、
次のようにまとめられています。
・中学校を卒業する段階で、約3割が(内容理解を伴わない)表層的な読解もできない
・学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない
・進学率100%の進学校でも、内容理解を要する読解問題の正答率は50%強程度である
・読解能力値と進学できる高校の偏差値との相関は極めて高い
・読解能力値は中学生の間は平均的には向上する
・読解能力値は高校では向上していない
・読解能力値と家庭の経済状況には負の相関関係がある
・通塾の有無と読解能力値は無関係
・読書の好き嫌い、科目の得意不得意、1日のスマートフォンの利用時間や学習時間などの
自己申告結果と基礎的読解力には相関はない
そして、著者は、次のように述べられていました。
『AIと共存する社会で、多くの人々がAIにはできない仕事に従事できるような能力を身につけるための
教育の喫緊の最重要課題は、中学校を卒業するまでに、中学校の教科書を読めるようにすることです。
世の中に情報は溢れていますから、読解能力と意欲さえあれば、
いつでもどんなことでも大抵自分で勉強できます。
今や、格差というのは、名の通る大学を卒業したかどうか、
大卒か高卒かというようなことで生じるのではありません。
教科書が読めるかどうか、そこで格差が生まれています。』
『私たちが人間にしかできないことを考え、実行に移していくことが、
私たちが生き延びる唯一の道なのです。』
どうやら本書の最後に書かれたこの言葉が、「最悪のシナリオ」を避けるための「唯一の道」のようです。
追記
本書に書かれていた「問題」や「例題」のなかで、私が間違ったのは【例題6 具体例同定】でした。
「次の文を読みなさい。
2で割り切れる数を偶数という。そうでない数を奇数という。偶数をすべて選びなさい。
①65 ②8 ⓷0 ④110 (正解 ②⓷④)」
はぃ、私はゼロが偶数であるという認識は、
恥ずかしながら、この歳になってもまったくなく、偶数でも奇数でもないと思っていました。
ウィキペディアで調べてみて、「ゼロの偶奇性」を初めて知りました。