「自民党が国民政党なら日本の針路提示必要」という論評を寄稿されていて、
そこには次のようなことが書かれていました。少々長くなりますが引用させていただきます。
『‥‥いま述べたように、自民党には二つの立場があり、自由党の系譜は、
戦後憲法の平和主義のもとで、経済発展、福祉充実を重視する。
一方、日本民主党の系譜は、憲法改正も視野に入れ、国家としての日本の自立を目指す。
前者はいくぶんリベラルなハト派に傾き、
後者は経済のみならず国防や教育にも関心をもつタカ派へと傾いた。
自民党とは面白い政党で、これらを両翼に配し、党としては、その混合体として、
憲法、経済成長、福祉、防衛、教育、日米同盟、格差、最近では構造改革など、
ほとんどあらゆる問題を一手に引き受けた。
国民の求めるものすべてに対処しようという総合商社のようなものである。
そして国民も自民党に総合商社的な機能を期待した。
これでは、政策を問う政権交代など起きるはずはない。
野党が政権交代を唱えるとすれば、「政治とカネ」も持ち出して自民党の体質を糾弾する以外になかった。
その結果、野党も独自の政策論などほとんど持ち出さずに、
もっぱら自民党の「カネ」と「スキャンダル」を追求することになり、そこにメディアが便乗した。
こうして、日本の政治は、多くの場合、「カネとスキャンダル」がらみの単なる政局になる。‥‥』
なるほど‥‥。自民党は「総合商社のようなもの」ですか‥。
「自民党という政党」を説明するのにとても分かりやすい比喩だし、
どうして日本では政権交代が起こらないのかも、これなら理解できます。
なお、佐伯先生は、この論評の最後には、次のようなことを書かれていました。
『自民党が真に国民政党であるならば、その目的は国民への利益、便益の差配ではなく、
日本の向かうべき方向を国民に提示して、世論を動かすことでしかあるまい。』
今国会では、「カネとスキャンダル」だけでなく、
最も大切な「日本の針路」についても、活発な論戦を期待したいと思います‥‥。