今日の日経新聞「危機と日本人」は、「思想に潜む「涅槃願望」」でした。
宗教学者で哲学者の山折哲雄さんは、
『日本では、3万人超の自殺者たちに対しては、人生の「敗北」のレッテルを用意して、
人みな支援、支援と叫びつづけている。
やはりこれはどう考えても均衡を失したおかしな現象ではないだろうか。』
と指摘されたうえで、
日本の「自死文化」もしくは「自殺文化」の背後には、
「涅槃」という思想の核がかくされているとして、次のように述べられています。
『〜(中略)〜この日本列島にはもしかすると、
「自死文化」もしくは「自殺文化」といってもいいような
心的傾向性が根づいているかもしれないという問題である。
その背後にいったいどんな思想の核がかくされているのか。
これはこれできわどい問いであるのだが、 あえて一口にいってしまえば
「涅槃(ねはん)願望」ということになるのではないかと私は思っている。
「涅槃」とは釈迦の入滅を意味し、仏教に由来する言葉であるが、
要するにローソクの火がゆるやかに消えていくように、
生命の火を静かに燃えつきさせる願望のことをいう。
生命の上昇する盛りがすぎれば、あとは生命衰滅のリズムにわが身をゆだねるばかり、
そのように実感する自然の願望のことだ。
生きよ、生きよの一面的なイデオロギーによってすっかり忘れ去ってしまった、
もう一つの郷愁のような生命感覚である。試みに口ずさんでみよう。
散るさくら残るさくらも散るさくら
うらを見せおもてを見せて散るもみじ』
う〜ん、正直言って、私には難しく、どうコメントしていいか分かりません。
やはり、自ら命を捨てようとする人がいる一方、
一日でも長く生きたいと病と闘っている人がいることを考えれば、
「涅槃願望」の一言で片づけるのはちょっとどうかなと……。
凡人には「郷愁のような生命感覚」は、なかなか理解できないものがあります……。