『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』
(マーティン・ファクラー著:双葉新書)を読了しました。
・日本人は、他国とは違い、
「第一の敗戦」でGHQから民主主義を与えられ、
日本人自身が、自分たちの力で民主主義を獲得したものではない。
・市民の手による革命が起きたことがないから、日本人の有権者はどこか受身で、
国に、お上に任せていれば、平和な世の中が築かれると信じている。
・記者クラブメディアが長らく存在していたのは、
国民がそれを無意識のうちに認めていたからだとも言える。
ニューヨーク・タイムズ東京支局長の著者は、
このように述べて、日本人と日本の記者クラブメディアを批判しています。
とりわけ、
原発事故をめぐる報道で、
真実を暴きだせなかった日本の記者クラブメディアに対する批判は、
本書の最初から最後まで、一貫して厳しいものがあります。
日本の記者クラブメディアのどこに問題があるのか?
私が注目したのは、次の記述です。
『日本の場合、
新卒採用で会社に入ってくる記者のバックグラウンドはほとんど同じに見える。
一部、社会人採用などがあるが、
大半の記者は難関大学を卒業してそのまま記者になる。
似たり寄ったりの人材が集まっていることが、
各社横並びの画一的報道にあらわれている。
私は、日本のメディアがすべて駄目だと言うつもりはない。
日本にも優れた記者はいる。
だが、総じて知識はあるが、情熱が欠けていることは確かだ。』
う〜ん、厳しい御指摘ですよね。
普段読んでいる日経新聞をはじめ、
日本の新聞に対する見方が変わってしまいそうです。
日本の記者クラブメディアからの反論も是非聞きたいものです。
ところで
著者が、「おわりに」で書かれているように、
「A good journalist needs a sense of moral outrage
良いジャーナリストには正義感〈悪に対する人間的な怒り、義侠心〉が必要だ。」
は、古今東西を問わず、記者に必須の心構えなのかもしれません。
そして、
『メディアが権力を批判し、社会に議論を起こさなければ、
健全な民主主義は絶対に生まれない。』は、けだし名言だと思います。
ガラパゴス的思考に陥らないためにも、一読をお薦めします。
- 作者: マーティン・ファクラー
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2012/07/04
- メディア: 新書
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