雑誌・文芸春秋11月号の大特集は、『日本再興の鍵は教育にあり』でした。
特集記事の冒頭で、ジャーナリストの池上彰さんと
作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんが、
「新・教育論」と題して対談をされていました。
最初の「教育の究極の目的とは何か」という問い掛けに対して、
まず、池上さんは、「よき納税者を育てること」と答えられています。
『きちんとした学力をつけることによって、きちんと働くことができる。
働いて収入を得られれば、税金を納めることができ、
次の世代を支えていく財源が生まれる。』というのがその理由でした。
次に、佐藤さんは、「信頼の醸成」と答えられていました。
『人間の持つ殺人傾向や破壊傾向を抑えるために使える可能性が高いのが教育。
人間社会には「悪」があり、あなたも環境によっては悪人になる可能性がある
ということを覚えさせておき、
それを前提にして、信頼の醸成の重要さを教える。
そして、信頼関係の構築を容易にできる人は、教養のある人です。』
このように説明されていました。
う~む、さすがにお二人とも含蓄に富んだお答えをされています。
なお、佐藤さんが答えのなかで引用されていた某作家の言葉として、
「人間は愛と正義の名の下に繰り返し戦争をし続ける生物で、
20世紀の百年間に、戦争、内線、虐殺、粛清、民族浄化などで
人間が殺した人間の数は1億人を下らない。」という記述がありました。
20世紀は「戦争の世紀」とも言われていますが、
戦争などで1億人以上の方が犠牲になったという事実に
改めて衝撃を受けました。
確かに、人間という生物は、放っておくと「危険な存在」であり、
そのためにも「教育」というものが必要なのかもしれません。
ちょっと悲しいけれど……。
そして、お二人に共通していたのが「教養教育」の大切さでした。
佐藤さんが、「アプリを作るよりも、OSを作れ」という
ユニークな表現を使われていたのが印象に残っています。
さて、私が同じ質問を受けたとすれば、どのように答えるのか?
「人間社会において、心も身体も豊かな人生を送るため」とか、
「人生における選択肢を広げるため」いうような平凡な答えしか思い付きません。
「教養教育」が私にはまだまだ足りないようです……。