明日の成人式を前にして、文学紹介者の頭木弘樹さんが、
今日の愛媛新聞に「いつか倒れたときのために」というタイトルの随筆を寄稿されていて、
その最後には、次のようなことを書かれていました。
『‥‥難病(潰瘍性大腸炎)になって私が救いを感じたのは、「変身」などの小説を書いた
フランツ・カフカのこんな言葉たちだ。
「生きるとは、たえずわき道にそれていくことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、
振り返ってみることさえ許されない」
「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまづくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」
いつか倒れたときのために(そんなことはないのがいちばんだが)心のどこかにこの言葉を。
若い人たちに私が言えるのは、それくらいだ。』
私の手元には今、付箋だらけの頭木さんの著書、「絶望名人カフカの人生論」があります。
カフカの名言には、先の随筆で紹介されたもののほかに、次のようなものもあります。
「人間の根本的な弱さは、勝利を手にできないことではなく、
せっかく手にした勝利を、活用しきれないことである。」
「ぼくはひとりで部屋にいなければならない。
床の上に寝ていればベットから落ちることがないように、ひとりでいれば何事も起こらない。」
「誰でも、ありのままの相手を愛することはできる。
しかし、ありのままの相手といっしょに生活することはできない。」
頭木さんは、著書の中で、
「人は絶望からも力を得ることができるし、絶望によって何かを生み出すこともできる」
とおっしゃっています。この言葉に私は、ずいぶんと元気をもらいました‥‥。
6年前に書いた過去記事を、今日も貼り付けておきます。
miyoshi-s.hatenablog.com