しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

未練たらしい男?

寒気もいくぶん和らいだようです。今は、二十四節気の「小寒」ですが、

七十二侯では、今日から「雉始めてなく(きじ はじめてなく)」となりました。


さて、NHKラジオ「らじる★らじる」で、「ひるのいこい」を聴いていると、

偶然、高木麻早さんの「想い出が多すぎて」がかかりました。

何回、何十回、何百回と聴いても、この曲の素晴らしさには変わりがありません。

特に、三番の歌詞が私のお気に入りです。


♬ 忘れましょうね 区切りをつけて いつも星に誓うけれど

  あなたの腕にだきしめられた 想い出が消えないの

  恋をすることが 愛を求めることが なぜこんなに息苦しいの

  忘れたいけど 多すぎるのよ あなたの想い出が


この日記で何回も書いてきましたが、この曲と南沙織さんの「ひとかけらの純情」を聴くと、

何十年経っても、高校時代に大好きだった彼女のことを思い出します。

我ながら、未練たらしい男だと思います‥‥。(苦笑)

決して忘れることはない「音の風景」

愛媛県は今日、新たに220人が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。

1日当たり200人を超えるのは初めてで、3日連続で過去最多を更新したとのことです。

マジで、ちょっと怖くなってきました。これ以上、感染が拡がらないことを切に祈りたいと思います。


さて、今朝、何げなくNHKラジオ「音の風景」を聴いていると、懐かしい「音」が流れてきました。

昭和61年に放送された「下町のお豆腐屋さん」のラッパの音です。

う~む、なるほど‥‥。昭和61年には、東京の下町でも、この懐かしい響きが聞こえていたのですね‥‥。


滋賀県大津市東レの社宅に住んでいた小学生の頃、

家のすぐ近くまで、お豆腐屋さんが、例のラッパを吹きながら来てくれました。

その音が聞こえると、母が「しんちゃん、お豆腐を買ってきて!」

母に言われて、ボウルを持って豆腐を買いに行くのが、その頃の私の大切な役目でした。


ラジオから流れてきたラッパの音を聴いて、亡き母のことを思い出しました‥‥。

今は聞くことができないけれど、決して忘れることはない「音の風景」です。

金融市場の四つのリスク

今日の愛媛新聞一面コラム「地軸」を読んで、「雪中四友(せっちゅうしゆう)」とう言葉を知りました。

寒い冬でも花を楽しめる、「ロウバイ」、「スイセン」、「ウメ」、「サザンカ」のことだそうです。

今日のこの厳しい寒さの中、我が家の庭の片隅にも、けなげにスイセンが咲いています。寒くないのかしら?


さて、同じく今日の愛媛新聞「現論」には、

BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副部長の中空麻奈さんが、

「今年の金融市場動向」というタイトルの論評を寄稿されていました。


中空さんは、「市場は今年、大きく崩れることはないとみてよさそうだ」としながらも、

次の四つのリスクは存在するとして、次のように述べられていました。


『第一は、新興国経済への懸念だ。米国の利上げに伴う金利高につられて新興国から大量の資金が流出し、

 苦境に陥った例は歴史上、枚挙にいとまがない。新興国経済の悪化は市場の混乱や輸出の減少を通じて、

 米国を含む世界各国・地域に跳ね返ってくる。

 第二は、金利上昇で増える多額の債務の利払い負担だ。

 先進国、新興国を問わず、負担増に直面することになる。

 第三は、金融当局による規制対象外の「影の銀行(シャドーバンキング)」の運用資産膨張に代表される

 不透明な資金の動向だ。

 第四は、先進国を中心としたワクチンの普及による景気の改善と需要回復に、

 製品や部品、労働力の供給が追いつかないことに起因する実体経済悪化のおそれである。

 穏やかな一年になるかどうかを占うにあたって市場関係者には、

 一連のリスクに目を光らせつつ、マーケットを眺めることをお勧めしたい。

 市場という大海原にこぎ出す際に必要な羅針盤になるはずだ。』


はぃ‥、市場関係者でなくとも、知っておくべき知識だと思いました。

昨日は「外交・安全保障」、そして今日は「金融市場動向」‥‥。

毎日、少しでも知っていることが増えるのは、実に楽しいものです。


五木寛之さん曰く、

「今年で90歳。長生きしたい。好奇心は尽きず、見届けたいことが山ほどあるからだ。」

今年で67歳の私も、見届けたいことは山ほどあります‥‥。

その時、どう動く?

昨年末に放映されたNHKスペシャル『台湾海峡で何が~米中“新冷戦”と日本』を

録画していたビデオで視聴して、自らの「外交・安全保障」に対する認識の甘さを痛感しました。

番組のなかで強く印象に残ったのは、「台湾有事」に関しての、米中のお二人の次のような発言でした。

番組HPから引用させていただきます。


・米インド太平洋軍 フィリップ・デービッドソン司令官(当時)

 「中国が野望を加速させるのを懸念する。台湾は野望の一つであり、今後6年以内に脅威が明白になる」

・中国国防大学 劉明福(りゅう・めいふく)教授

 「中国の国力がアメリカを超え、アメリカが西太平洋から東太平洋に後退するまで、

 それほど時間はかからないだろう」


う~む、まいったな‥‥。

南海トラフ巨大地震」よりも「台湾有事」の方が、先に現実になるかもしれません。

さらに、衝撃的だったのは、、アメリカ軍の岩国基地が、

所属する軍用機の数では、沖縄県の嘉手納基地を抜いて「東アジア最大規模」となるなど、

中国に対応するアメリカ軍の一大拠点となっているという事実です。

私の住んでいる松前町と山口県岩国市は、瀬戸内海を挟んで「目と鼻の先」なのです。


台湾の状況がより切迫したものになれば、日本はどう対応するのか?

有事に備えてのシミュレーションも大切だけれど、「その時」になって、

関係者が「あれやこれや」と議論する暇のないことだけは、はっきりと理解できました。


追記

番組では、台湾からわずか100キロ、日本最西端・沖縄県与那国島が紹介されていました。

映像を見て、現役時代に出張で与那国島を訪れたことを、懐かしく思い出しました。

日本最西端の地に立って見た、雄大な海の景色は、今も忘れることはありません。

この美しい海が戦場にならないことを、切に祈りたいと思います。

破局に備えた論争を今こそ

冷たくて強い風が吹き荒れた一日となりました。


さて、日経新聞「経済教室」で連載が続いていた「コロナ危機を超えて」は、今日がその最終回でした。

最終回は、『人新生の「資本論」』の著者、斎藤幸平・大阪市立大学准教授が、

『民主主義、気候変動でも試練』というタイトルの、次のような論考を寄稿されていましたが、

読んでいていろいろと考えるところがあり、とても勉強になりました


『‥‥1.5度目標のためには、緑の資本主義とは全く別の経済システムが必要になる。

 それがZ世代の「脱成長」という要求だ。だがこの転換は、個人の行動変容やESG

 (環境、社会、企業統治)のような市場のインセンティブ(誘因)では間に合わない。

 包括的な経済計画が必要だ。そして化石燃料が資本主義の根幹を成すからこそ、

 脱炭素への移行では全産業を網羅する強制措置が避けられない。

 「計画」と「強制」。嫌な言葉だ。

 だが戦争や恐慌、パンデミック(世界的大流行)のような危機の瞬間には、

 生存のために強い国家介入が要請される。コロナ禍でもロックダウン(都市封鎖)や入国規制が実施された。

 移動の自由を奪うなど不可能と思われた措置がとられた。

 私たちが「生きる」ために、一時的に、資本主義が「死んだ」瞬間だった。

 資本主義に緊急ブレーキをかける計画と強制が必要になるのは、気候危機でも同様だ。

 ここに生存と民主主義の緊張関係が生じる。

 手ぬるい対策しか打たれず気候危機が悪化したら、どんな統治が現れるのか。

 拙著「人新世の『資本論』」で論じたように、一つは中国型の「気候毛沢東主義」だろう。

 民主主義を犠牲にして脱炭素化に向けた規制や計画を実施する。

 コロナ対応と同様、独裁が効率的な対策として要請される。

 もう一つの道は、欧米式の「気候ケインズ主義」だ。

 だが市場経済重視の対策は不十分な成果しか残せない。

 地球環境の劣化が進み、自然災害が襲い、脆弱な途上国は政情不安になり、気候難民が増える。

 世界的な食糧危機や資源争いで国際秩序はさらに不安定化し、供給力は下がっていく。

 慢性的な物資不足が生じれば、分配もできなくなり、インフレが進行する。

 現在進行中のインフレはそのリハーサルといえる。

 インフレの影響が直撃するのが低所得者層だ。その不満と怒りはリベラルエリートと移民に向かう。

 事実、欧米ではマリーヌ・ルペン氏のような極右勢力が気候変動対策として移民排除を掲げる。

 結局、気候ケインズ主義は敗北し、エコファシズムの脅威が高まる。

 つまり中国と欧米、どちらの道もやがて「上からの統制」による全体主義に帰着する。

 全体主義を避けながら進む道はないのか。気候変動との「戦争」では計画と強制が必要だとしても、

 それが「上からの統制」ではなく、危機を認識した民衆がよりましな強制措置を国家に求めるという道だ。

 コロナ禍で大衆が移動の自由よりも緊急事態宣言やロックダウンを支持したように。

 それが独裁に陥らないよう私たちが監視するしかない。

 哲学者スラヴォイ・ジジェク氏は、このいばらの道を「戦時コミュニズム」と呼ぶ。

 この言葉が喚起する否定的イメージは百も承知だ。

 それでもあえて使うのは、危機を打開する道がいかに困難かを示すためだ。‥‥』


う~む、なるほど‥‥。

気候危機が悪化したら、中国型の「気候毛沢東主義」か、欧米式の「気候ケインズ主義」という

二つの統治形態が現れるのですか‥‥。

どちらの道を選んでも、やがて「上からの統制」による全体主義に帰着するというのは、不気味ですよね。


斎藤准教授は、論考の最後に、

「今、地球が燃えている。そんな緊急事態で非常口を見つけるのは並大抵のことではない。

楽観主義を捨て、人新世の破局に備えた論争を今こそ始めるべきだ。」と述べられていました。


「ゆでガエル」状態の私たち国民一人ひとりは、破局に備えて、

「論争」以外の手法としては、具体的にはどのような行動をとるべきなのでしょう‥‥?