しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

卒業式と春一番

今日、3月1日は、県立高校の卒業式でした。
学び舎を巣立たれた卒業生の皆さん、「ご卒業、おめでとうございます。」
また、卒業生の皆さんを
これまで物心両面で支えてこられたご家族の皆さんに、心よりお慶びを申し上げます。

高校の卒業式といえば、嬉しいような気恥ずかしいような思い出があります。
当時、私の母校は体育館の建替え工事中で、卒業式は松山市民会館で執り行われましたが、
その式典で、私は意外にも優等賞をいただきました。

高校生活の3年間、
ほとんど遅刻寸前に登校し、品行方正とは決して言えなかった私が、
まさか優等賞をいただけるとは思ってもみませんでした。
記念品にいただいたアルバムに押してある「優等賞」のゴム印を見るにつけ、
40年近く経った今でも、気恥ずかしい気持ちになります。

実は、このことを一番喜んでくれたのは母でした。
卒業式当日まで、この話は母には内緒にしていたのです。
自宅に帰ってから、母に感想を聞くと、
「あなたの名前が読み上げられた時には、とてもびっくりした。本当に嬉しかった。」
母が生きている間に、私ができた親孝行は、
ちょっと大げさですが、これが最初で最後だったかもしれません。

この時の母の気持ちを、
私は自分の娘の中学校の卒業式で、幸運にも理解する機会に恵まれました。
卒業生代表で答辞を述べる娘の姿を見ることができたのです。
保護者席から見た娘の背中が、その日はやけに大きく見えたことを覚えています。
できることなら、娘の晴れ姿を亡き母にも見せたかったのですが……。

そういえば、あの時の感動を、
あの時以来、娘からはもらっていないような気がします。
ひょっとして、娘にとっても、最初で最後の親孝行だったりして……。

県立高校の卒業式の今日、四国地方には「春一番」が吹きました。
卒業生の皆さんの、今後ますますのご活躍をお祈りして、
娘が答辞の中で引用した、高浜虚子の俳句を送りたいと思います。
春が来て、この句を読むと、不思議に力が湧いてきます。

『春風や 闘志いだきて 丘にたつ』