消費税増税論議の続きです。
今月3日(火)の日経新聞「経済教室」は、「消費税増税の論点」の2回目、
論者は、土居丈朗・慶応大学教授で、
論考のタイトルは、『「他力依存」から早期脱却を』でした。
消費税増税を予定通り実施すべきであるという主張について、
これ以上の説得力のある主張はないだろうという主張を、土居教授が述べられていました。
少々長くなりますが、その部分を論考の中から引用させていただきます。
『97年以降これまで、
消費税増税は「景気がよくなってから」という口実によって先送りされてきた。
この口実は、文字通りのことを意味していないことは明らかである。
経済成長率が低迷していると、この口実の下まだ増税すべき時期でないといい、
経済成長率が高まってくると、
せっかくの景気回復基調を腰折れさせてはいけないからまだ増税すべきでないという。
結局、経済成長率が低かろうが高かろうが、増税に反対することに変わらない。
そうする間にも、負うべき税負担を自ら負わず他人に転嫁し、
政府債務を累増させていったのである。もはや、消費税増税を先送りしてはならない。』
これを読むと、予定通りの消費税増税に反対しにくくなると思います。
誤解のないように付け加えると、
土居教授の上述の主張は、論考の最後に書かれていて、
多分に精神論的なニュアンスもありますが、
次のような主張や懸念に対しては、理路整然と反論されています。
・消費税増税自体に反対
・消費税以外の税で、財源を賄えばよい
・将来的な増税は甘受するとしても、来年4月の増税を延期すべきだ
・消費税増税は、デフレ脱却の動きに水を差す
・予定通りの消費税増税ではなく、来年以降毎年1%ずつ消費税率を上げる
そして、論考の中での土居教授の次の言葉は、ズシリと胸に迫るものがありました。
『予定通りの消費税増税に対する批判には
「他力依存」的な発想が色濃くにじんでいる。』
「自らが痛みを受けるのを避け、他人が痛みを受ければよい」という発想は、
日本人特有の発想なのでしょうか?
消費税増税論議だけでなく、
ほかの重要案件にも、このような発想が見え隠れしているような、いないような…。
私自身も深く反省しなければなりません。